中国の対アフリカ援助は日本のパクリだった!?!?
灯台下暗し
中国の対外援助を論じるとどうも極端な意見に偏ってしまう傾向がありますよね。例えば「アフリカで中国は嫌われている」「東南アジアは親日だから中国を受け入れない」等々よく聞かれると思います。ある程度仕方ないかもしれません。日本は中国と領土問題を抱えています。それに、アフリカは日本から距離もあり、東南アジアは東南アジアで独特の政治力学があり、「中国の対外援助」を理解するには一筋縄ではいきません。
では「中国の対外援助」をどこから理解するべきか?
それに関して
ノルウェーの「ノルウェー発展途上国投資基金」という組織が、中国の対アフリカ支援に関して興味深い指摘をしていました。
https://www.norfund.no/what-we-do/
このレポートによると、「中国の対アフリカ援助は日本の対外援助から学んだ」と指摘されています。
なので、「中国の対アフリカ援助」を理解するために、一端「日本人の日本人による日本の対外援助」に関する書籍を見てみてはどうでしょうか?日本人にしてみれば灯台下暗しという感じでしょうか?
日本の対外援助の始まりも経済協力・貿易が主体
中国による対アフリカ援助に言及し日本を含めた開発援助に関して体系的かつ包括的にまとめた新書が中公新書から出版されています。筆者である平野克己氏は、在ジンバブエ日本大使館にて専門調査員などを経て現在はJETROの理事を務めている方です。
『経済大国アフリカ』の中で平野氏は、エジンバラ大学のケネス・キング氏による「中国の対アフリカ援助」に関する評価に言及しながら以下のように書いています。
エジンバラ大学のケネス・キングは「中国のアフリカ支援は西欧諸国による援助とはまったく対照的で、日本の初期の東南アジアなどに対する支援と比較可能である」といっている。発足した当時の日本の開発援助は通商産業省(現経済産業省)が所轄していた。開発援助を外交当局や専門省庁ではなく経済官庁が所轄するというのはめずらしく、当時の日本と現在の中国がそうだ。高度経済成長期をむかえようとしていた日本の開発途上国に対する「欲求」は、中国がいまアフリカに抱いているものとたいへん似ている。それをもし「不道徳」というのならば、中国においてもかつての日本においても、急速な経済成長に必然的に付随する不道徳であろう。それを是とするか非とするかはそれぞれの判断だが、日本人には中国の欲求を感得する歴史的記憶がのこっているはずだ。中国にかぎらずこれから新興国ドナーが登場してきて開発援助の様相を多様にしていくとき、その歴史的記憶は日本の知的遺産になるだろう。
中公新書2013年 1月25日初版
2014年 4月25日3版
『経済大国アフリカ 資源、食糧問題から開発政策まで』P54~P55より引用
「中国の対アフリカ援助」やその他の「対外援助に問題がない」とは言いません。ですが、現代の中国の対アフリカ援助が日本の初期対東南アジア援助と類似点が存在しているのであれば、その問題を日本と中国でシェアする事も可能なのではないでしょうか?また、今後の「中国の対外援助」の行く末をある程度占う事も可能ではないでしょうか?
その他の参考書籍
台湾で翻訳出版された書籍
ドイツ人の兄弟によるアフリカレポート。
兄が中国研究者、弟がアフリカ滞在歴10年以上のジャーナリスト。
本書の中ですでにインドや韓国などもアフリカでビジネスに乗り出している事が書かれている。