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北東アジアを考えよう!

北東アジア(日中韓台朝)をメインに、ユーラシアを包括的に捉えよう。 

中国のパクリと闘う その2 ”良いパクリ”と”悪いパクリ”

syuturumu.hatenablog.com

 

その1では、パクリを前提にしてそのパクリを上手く”いなす”手段を音楽業界の実例と、「海賊版パラドックス」について言及しました。今回はモノづくりとオープンイノベーションについて見ていきます。

 

 

”良いパクリ”と”悪いパクリ”

 

 昨今のITの発達などで、様々なモノが無料で公開されています。無論、そうなるとパクリや無断流用なども横行します。ある意味では、インターネットに無料で公開するという事はパクられるリスクも上がります。

 オープンソース・ハードウェアの世界で、それは予想されたことであり、推奨されてもいます。流通コストのかからないソフトウェアは無料です。製造にかなりのコストがかかるハードウェアは、品質やサポートや供給量を確保します。ビジネスを健全に拡大するために、必要最低限の価格をつけなければいけませんが、デザインは無料で公開されます。知的財産は全て公開されるので、コミュニティーはそれを利用し、改善し、自分の好きに変える事ができます。クローン品が作られる可能性は、このモデルの中にあらかじめ組み込まれています。オープンソース・ライセンスは、それを許可するものです。もちろん、理想をいえば、コピー品が市場のニーズに応じて、製品に変更や改善を加えることが望ましいです。それこそ、オープンソースが推奨するイノベーションの一形態です。しかし、クローン品を安く売るだけでも構わいません。それは市場が判断してくれます。

  

 ただ、なぜパクるか?なぜ真似をするか?という事はよく考えるべきです。

 その理由は様々なことが考えられますが、好きでファンだからというのは大きいです。他にも、その会社の製品が欲しいけど高くて買えないから廉価版が必要というニーズがあるからという事もあります。もちろん、いい加減な気持ちで何も考えずにパクっている連中も存在します。パクっている連中の態度の他にも、連中が持っている技術も”良いパクリ”と”悪いパクリ”を見分ける指標になると思います。最近では、中国も技術力が上がって、パクリだけどそれなりにクオリティーが高いモノも出現しつつあります。これらを単純に敵視するのは少々、勿体無い気がします。

www.youtube.com

 

 

パクリが本物を救う 

 

 ここからはクリスアンダーソン氏の著作『メイカーズ』に紹介された実例を引用しながら見ていきましょう。

 

 2010年の終わり頃、アルデュパイロット・メガという製品の中国製の模造品が、タオバオやイーベイやそのほかのサイトで販売されていることが分かりました。しかし、模造品は高品質で機能も申し訳ありません。しかも、英語の説明書といくつかのソフトウェアが中国語に翻訳されていました。ただ、会社は模造品にたいして何もしませんでした。

 またアルドゥイーノのという他の会社のアイコン基板にも、まったく同じ状況が起きていました。中国製のクローン品が多く出回っていたです。品質の劣るクローン品もありましたが、品質が良い場合でも、殆どのユーザーは本家のアルドゥイーノ製品とその開発者を支持し続けました。今日、クローン品は市場でほんの小さなシェアを占めるだけで、その大部分は中国などの価格に敏感な市場です。また、実のところ、低価格市場に参入することもまたイノベーションの一形態で、責められるべきではありません。クリス・アンダーソンはこの展開をうれしく受け止めました。それには、四つの理由があります。

 

製品サイトのウィキが中国語に翻訳されて、より多くの人に読まれるようになった事は素晴らしい。

 

クローン製品は成功の証だーそれを欲しがっている人がいるからこそ、クローン品が作られる。

 

競争は良いことだ。

 

クローン品が、本物のイノベーションと改善につながる事もある。われわれのライセンスのもとでは、派生的なデザインもオープンソースにする事が求められている。中国チームがより良いデザインを考えてくれれば、手間が省ける。今後は僕らが彼らのデザインしたものを生産し、マニュアルを英語に翻訳し、中国以外の市場で売る事ができる。

 

 

 上記のような事を、アルデュパイロット・メガが模造した中国の業者に送ったらすぐに「ヘイジー」というメンバーが、名乗り出ました。彼は、模造品を作ったチームの一員で、中国語へのマニュアル翻訳を担当していると名乗り出ました。その後、彼の翻訳を公式にマニュアルに移植し、マニュアルは英語と中国語対応になりました。また、ヘイジーは様々なバグを取り除き始めた。そしてヘイジーは、チームの公式メンバーとなりました。

  はじめ、クローン品の事を耳にしたとき、会社の中には、これをよくありがちな中国人によるあからさまな知的財産の侵害と決めつけ、いつ訴えを起こすのかと聞いてくるメンバーもいました。しかし、これがオープンソース・ライセンスのもとで許可され、推奨されてさえいる「派生的な」デザインであって、「侵害」ではないと考えると風向きが変わったのです。

 中国チームを悪者と決めつけず、彼らをコミュニティーの一員として扱ったことで、彼らもその期待通りに行動してくれました。ヘイジーは、僕たちの仕事を利用するだけでなく、自分から名乗り出てコミュニティにも貢献してくれました。これはもしかしたら奇跡的な一例かもしれません。しかし、「侵害者」の一部は、本物のために働いている人もいます。彼らは会社の技術を使うだけでなく、みんなのためにその技術を改善しようと手助けしています。ヘイジーは会社の夢の実現のために手を貸してくれています。

 

 

つまり、

パクリにも良いモノと悪いモノがあり、しかも良いパクリを取り込むことで、悪いパクリを倒す事も不可能ではないのです。

 

 

以下が引用・参考資料です

 

 

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

 

 P47 P50~54