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北東アジアを考えよう!

北東アジア(日中韓台朝)をメインに、ユーラシアを包括的に捉えよう。 

戦争や植民地時代を描くジレンマ ーマイウェイを例にー

映画『マイウェイ』を観ました。


映画『マイウェイ 12,000キロの真実』予告編

 

 上の映画を観ました。この映画はある歴史資料を基に監督がインスピレーションを得て、撮影した映画です。映画はエンターテイメント作品としての色合いが強く、リアルさには欠ける印象です。出演俳優のネームバリューから見ても、この映画がどちらかと言うと大衆向けの映画である事がなんとなく察せる物となっています。

 しかし、この映画の物語が少しクセモノで、端的に言うと日韓双方のネトウヨ的人物を怒らせる内容満載なのです。僕は見ながら「ふーん」と思う一方で「エっ!このシーン実際に韓国で上映されたの!」「うわぁ、こりゃ日本のネトウヨが騒ぐな」と思わせる所がありました。

 なので、この映画についてネタバレしない程度に語りながら、韓国の対日感情についての読み解きも試みたいと思います。

 

 

ノルマンディーの朝鮮人

 

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ヤン・キョンジョン - Wikipedia

 

 この映画は、ノルマンディー上陸作戦終了後に撮られた、ドイツ軍にいた東アジア系人物の写真がきっかけで作られます。この人物の存在に関してはかなり不確定で、正体はあまりよく分かっていないようです。ウィキペディアでは朝鮮人の「ヤン・キョンジョン」という事になっています。

 

ここで確定しているのは

ノルマンディー上陸作戦に参加したドイツ兵の中に東アジア系がいた 

という事実だけです。

 

つまり、東アジア系がノルマンディーに至るまで、

「〇〇というプロセスを経ればノルマンディーに辿りつく」という考えと、最少の史料で再現した映画と言う事が出来そうです。

 

 

炎上必至な描写の数々

 物語は日本植民地時代のソウルから始まります。そのソウルの描写は明るく、近代化された町並みが再現されています。更に、主人公の日本人と朝鮮人の友情も少しだけ描かれます。もちろん日本人の差別的な態度も描かれます。その後、主人公の一人は、朝鮮人日本兵として徴用されます。

 この映画は全編通じて、朝鮮人日本兵の青年純血日本人軍国青年の二人を主人公として物語が進みます。朝鮮人日本兵の存在は、靖国神社の問題や従軍慰安婦問題でも顔を出すモノで、これもセンシティブなテーマだと思います。

 また、物語の中では極悪非道で典型的な日本鬼子・チョッパリ像が描かれます。これに関して、僕自身な特別に間違っているとは思っていませんが、日本のネトウヨ層などは問題視するでしょう。そして主人公たちは日本→ソ連→ドイツと軍属を変えます。なので、物語の中では、極悪非道の日本人が朝鮮人に変わり、またソ連に変わったりします。「正義と悪」が目まぐるしく逆転するのです。

 メディアは必ず偏る物で、多かれ少なかれ作者のメッセージが込められます。この映画の監督は韓国人の方です。上記の事から思うと、少なくとも私はこの映画の製作陣に「極悪日本を描き出す!」「我ら先祖の雪辱を果たす!」という意図は無いと思いました。

 

 

 

映画が公開された時期はまさに日韓関係が炎上していた

  この映画は韓国では2011年12月に封切られました。日本では翌年の1月に公開されます。ここで、この時期の日韓に関する出来事を確認してみましょう。韓国の大統領は李明博。日本は民主党野田佳彦です。

 

2011年2月~3月にかけて 漫画『嫌・韓流』文庫版出版

 

2011年3月11日 東日本大震災

2011年8月末  韓国憲法裁判所 元慰安婦慰安婦や原爆被害者らの個人の請求権問題に関する違憲審査の申立てにつき、韓国政府が日本と外交交渉を行わないのは「被害者の基本的人権を侵害し、憲法違反にある」との決定。

 

2011年8月頃  フジテレビに対する反韓流デモ

 

2011年12月、「韓国挺身隊問題対策協議会」(韓国のNGO)が在韓国日本大使館前に「碑」を建設。

 

2012年8月 李明博竹島訪問

 

 

2011年から2012年にかけてはこのような感じでしょうか?もう少し前の2000年代まで遡ると、「竹島の日」の制定や慰安婦否定発言(慰安婦は売春婦・強制連行は無かった云々)等々があります。

 日韓関係は、2000年代後半から徐々に悪化していき、2012年の李明博大統領の竹島訪問で爆発的に悪くなった事がわかると思います。

 つまりこの映画は、悪化していく日韓関係の中で公開されたという事です。悪化していく日韓関係の中で、日韓のセンシティブな歴史を扱う映画が作られ上映された。製作陣は何とかして、日韓関係をポジティブなモノにしたかったのではないのでしょうか?

そして、この映画の上映を決定した映画館やこれをDVDにして売ろうとしたスタッフにも多かれ少なかれ、こうした意図があったように思います。

 

 

 戦争映画のジレンマ

 第二次世界大戦の歴史を扱う映画の宿命として必ずといっていいほど、何かセンシティブなテーマに当たります。「天皇戦争責任」「対アジア戦争は侵略か否か」「従軍慰安婦」etc・・・。そして、それらのテーマに怒った人たちによる何かしらの圧力が掛かったりします。もちろん、制作側も簡単には折れません。しかし、現実問題として多くの人に見てもらい、お金も回収しなくてはいけません。その為に、ある程度の妥協や大衆路線は仕方ないのかもしれません。おそらく、この映画の製作陣や出演俳優の方々もそういう葛藤があったと、私は勝手に想像しています。 

 

韓国の対日モノや日本統治時代モノももっと入って来てほしいと思います。

 

 

 

 

参考資料

 

最近の日韓関係 H27年 外務省北東アジア課

http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000033344.pdf

 

 

www.youtube.com

 

 これは日本人街の様子です。この映画を作った人たちにもこうした、考えがあったのかな?と思います。