北東アジアを考えよう!

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キャッシュレス社会について考えてみた その① そもそも”オカネ”ってなんで”オカネ”なの

最近、「中国のキャッシュレス化社会論」が熱いですが

 

 最近、中国で進む「キャッシュレス社会」についての記事がよく見られます。

 

 

newsphere.jp

 

 

gendai.ismedia.jp

 

working-asia.com

 

 

 

一方でこうした記事は「事実を誇張しすぎている」という声もあります。

 

togetter.com

 

ここで一端、「キャッシュレス社会」は何をもたらすか、そもそもサイバー通貨や通貨のデシタルコード化の何が革新的か纏めていきたいと思います。

 

 

 そもそも「現金」はなぜ”おかね”として働くか

 

  お金は私たちの生活には無くてはならないモノです。しかし、その”お金”の価値はとても抽象的なモノで支えられています。それは”信用”です。お金は金属だから価値があるわけでもなく、高品質な紙だからでもありません。国の銀行がその価値を与え、我々がその価値を信じているから働くのです。逆に国がその価値を与えず、国の価値観を信用していなくても、人々がその価値を信用し、見いだせれば貨幣は流通し経済を回します。

 例えば、和同開珎はまさに国が価値を保障しようと努力しても、人々に流通しなかった通貨です。また12世紀から13世紀にかけて、日本は中国の通貨を輸入して使います。16世紀まで日本では「宋」と「明」の通貨が一緒に使われていたそうです。

 

www.youtube.com

 

VTR冒頭部、3分30秒あたりからその説明があります。

 

 

 

電脳空間の”オカネ”

 

 通貨は”信用”で運用されると書きましたが、それは電脳空間でも同じです。今までは電脳空間で信用を保障する仕組みが確立されていませんでした。しかし、昨今の技術革新によって信用を保障する事が出来るようになりました。電脳空間の通貨や、サイバー空間での金融取引はこうした背景から生まれ運用されています。

 しかし、”電脳空間のおカネ”と”現実世界のおカネ”には大きな違いがあります。それは中央の権力の強弱です。基本的にこの世に出回っている”お金”は国の中央銀行が発行し、国の権威がその権威の信頼によって価値を保障し民衆が信じています。一方で”電脳空間のおカネ”は、国がすべてを管理するわけではありません。分散型台帳システムや暗号学的ハッシュ関数などの仕組みを使って、信頼を担保します。

 コピー&ペーストを思えば分かると思いますが、デジタル空間では複製や成り済ましが簡単に行われます。金融の分野でこれをやられたらたまったモノではありませんが、そんな心配も昔の事になりそうです。買い物の記録・移動の記録・病気の経歴などなどあらゆるモノがデータとして記録され個人を特定出来るようになっています。

 そうです。サイバー空間の金融やキャッシュレス社会を推進する上で、監視社会化はある意味免れないのです。国家の権威を脱する可能性だった技術が、皮肉にも国家に代わって大企業に権威を与えて新しい危険も生み出してしまうのです。

 では、そもそも「国家がすべてを管理している体制なら?」逆に「国民にプライバシー意識もなく、監視体制を一定許容している国家なら?」そうです。そこに、中国で進むキャッシュレスやFinTechを読み解くカギがあるのです。

 

 

 

以下の資料を参考にしました。

 

 

資本の世界史 (atプラス叢書12)

資本の世界史 (atプラス叢書12)

 

 P123 資本VSお金 お金は謎である、資本と同じでもない

 

 

 

岩井克人ビットコイン論より一部抜粋