中国の対外援助その実情
中国の対外援助その実情
中国の途上国支援、「一帯一路」に関して様々な都市伝説が流れる事があります。「インフラ整備に囚人を使っている」「債務の罠で途上国を中国依存させている」「中国の支援はどこにも歓迎されていない。日米の圧勝」などなど。プロジェクトの規模の大きさや中国独自の展開力の速さもあって、誰も何も追いつけていないのが実情だと思います。しかし「中国の対外援助」に関して、ここ数年でまとまった報告が上がってくるようになりました。その中にあるオープンデータベースを本記事で紹介しながら、「中国の対外援助」に関して、一つ標準となるモノを提示したいと思います。
Aid Data(エイド・データ)
アメリカのウィリアム・マリー研究所とその関連組織を筆頭に、国連大学やシンガポール教育省などの国際機関なども調査に協力した「中国の対外援助」に関するデータがインターネット上に公開されています。このデータベースは2000年から2014年まで、140の国と地域で中国によって行われた4300件のプロジェクトのデータを収集し、それをグラフや地図に落とし込んでいるデータベースです。以下がリンクです。
https://www.aiddata.org/china-official-finance
以上のようにAid Dataの公開データを見ますと、具体的に中国がどの国にどのようなプロジェクトをどういう融資で実行していたかが一目瞭然です。
ちなみに、こちらがどのプロジェクトが「債務」による資金調達か?を表した地図です。噂通り、「債務の罠」を世界中で展開している事が分かります。しかし、国よっては必ずしも「債務」の形で資金調達しているわけでもない事が分かると思います。
中国の対外援助=交通インフラ整備??
「中国の対外援助」というと「交通インフラ整備」のイメージが強いと思います。ですが、これも世界規模で見るとそうとも限らない様子が見えます。
東南アジアを見ると、ベトナム北部とカンボジア、ラオスなどは交通網の整備を主に手掛けていますが・・・
東アフリカ、タンザニアやルワンダなどでは「コミュニケーション」、通信基地局などを中国が手掛けている事が分かると思います。あと見逃せないのが黄色と水色で示された「燃料輸送網・パイプライン」に関わるプロジェクトでしょうか?
こちらは、どの項目に中国が注力しているかを示した図です。こちらを見ると、確かに運送に関わる交通インフラにかなり力を入れている事が分かると思いますが、資源に関するプロジェクトに力を入れている事が分かります。中国の対外援助に「資源の持続的確保」があるのは確実というわけです。
すでにアメリカを抜いている「中国の対外援助」??
中国の対外援助の総額は実を言うとリーマンショックからすでにアメリカを抜いています。
この中国の対外援助ですが、2014年までのデータで一般的に知られたODA(政府開発援助)の形式ではなくOOF(その他の政府資金)が圧倒的にメインです。これは、中国の対外援助が純粋な「開発援助」ではなく「ビジネス」や「貿易」との兼ね合いである事の証拠だと思います。
中国の対外援助の「ビジネスミックス戦略」に関して過去ののブログ記事を参考。
以下を参考にしました。
ODAとOOFについて
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/oda_2/dai4/siryou5.pdf#search=%27ODA%E3%81%A8OOF%27
いかがでしょうか?データが2000年から2014年という事ですでに古くなりつつありますが、一つの基準になると思います。この分野に興味ある方は実際にご自身でアクセスして色々と覗いてみてください。