一帯一路とは”いったい”何なのか④ ワープア対策としてのアフリカの孔子学院
中国のアフリカ接近
中国のアフリカ進出が止まる気配がありません。アメリカの保護主義傾向や西欧の排他主義傾向をしり目に影響力を増大させています。
しかし、かつてのような高度経済成長が終焉し国内にも課題山積の中国が果たしてアフリカ全土を手中に収める事が出来るのか?という疑問はあります。「中国が世界を支配する」「中国が世界をリードする」という言説は経済成長率二ケタ台が2000年代後半から30年代まで続き、その頃に米国に並ぶ前提に立った見方です。
※中国経済専門家の津上俊哉さんの『巨龍の苦闘』を参考
https://www.amazon.co.jp/巨龍の苦闘-中国、GDP世界一位の幻想-角川新書-津上-俊哉/dp/4041027489
『新・中国2016 習近平体制がまるわかり』を参考
https://www.amazon.co.jp/新・中国2016-習近平体制がまるわかり-日経BPムック-日経ビジネス/dp/4822279480
高度経済成長が終わっているのに海外爆進出のナゾ
高度経済成長が終わっているのに海外に力強く進出する中国を読み解くためには「一帯一路」がどういう目的をもって提唱され運営されているかを理解する必要があります。
ここでは、「産業構造の転換」に注視していきます。
中国でも高学歴なのに低収入の「高学歴プア」の存在が社会問題になっています
中国の起業ブームなどもこうした文脈で読み解くべきでしょう。
高学歴プア対策としての孔子学院のアフリカ進出
中国政府は様々な高学歴プア対策を講じています。農村地区に赴任する教員などに補助金を下ろすようにしたり、外国人向けの中国語教師に対しても同様の補助金政策があります。
実をいうと習近平は国家主席になる以前からかなりの回数、海外の孔子学院に訪問しています。
※以下の図は李炅澤『中国の国際文化政策に関する政治学的分析』筑波大学2013年博士論文より引用
CiNii 博士論文 - 中国の国際文化政策に関する政治学的分析 : ソフト・パワーと孔子学院事業の関係検証
そして、アフリカにおける孔子学院の数はまだユーラシア地域やアメリカ大陸に比べて未開拓な事が以下の孔子学院のHPからも分かると思います。たしかに上記の2013年時点の30個所から2018年の54個所という増加ペースを思えば脅威的なのですが、アフリカ現地の情勢などを考慮するとそこまで大げさに捉える必要もないような気もします。
今後、NHKなどで「中国の高度経済成長が終わっているのにアフリカで影響力を増している」という報道があれば、このブログ記事を思い出してもらえればニュースの読み解きに一役買うと思います。