北東アジアを考えよう!

北東アジア(日中韓台朝)をメインに、ユーラシアを包括的に捉えよう。 

一帯一路とは”いったい”何なのか①

日本も本格的に一帯一路へ参加しそうです

 政府が条件付きで一帯一路への参加を表明した事で、日本国内で一帯一路に関する報道や議論が起こってきていますね。

 

www.nikkei.com

 

www6.nhk.or.jp

 

www.nhk.or.jp

 

これらの報道や日本の主流論調を見てみると、否定派・肯定派かかわらず、この「一帯一路」を主に中国の対外進出、覇権獲得として読んでいる印象を受けます。間違ってはいないのですが、非常に表面的で、中国の特性を理解できていないです。

 

 

ヌルヌル動くソトとウチ

ー内政課題の克服のための一帯一路

 

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この雑誌の記事で注目するべきは、一帯一路の第一の目的に西部辺境を対外開放の中心に据えるというモノで、西部大開発の延長である事が窺えます。

 中国の軍事戦略を専門に研究されている平松茂雄氏は一連の著作で以下のような事を述べています。「中国には国境という概念が古来より希薄」「膨張を繰り返す」「近隣諸外国の民族のほとんどが中国域内で暮らしている」。この事から、中国にとってソトとウチというモノはヌルヌル動き回ることが予想されます。他の日本の中国研究者の方やジャーナリストの著作でも、明確にソトとウチが分かれないのが中国の特徴である事が紹介されています。

 以下のVTRでも、一帯一路を推し進める主な理由として、中国国内の過剰生産の解消と新たなる経済成長のエンジンの必要性について言及されています。

 

www.youtube.com

 

AIIB、一帯一路が過剰生産力の調整弁になる事の可能性に関しては以下でも言及されています。

https://www.amazon.co.jp/新・中国2016-習近平体制がまるわかり-日経BPムック-日経ビジネス/dp/4822279480

 

 

これらからも、分かる通り、一帯一路を単純に対外拡張・中国の覇権主義といった文脈のみで読み解くのは間違っています

 

 

一帯一路を読み解く

 

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こちらは、中国国内で出版された一帯一路の解説書です。寄稿されている著者を見てみると、ザ・プロパガンダといえる書なのですが、逆に言えば現時点で一帯一路をどのように推し進めるか、一帯一路はどういう位置づけなのか、彼ら自身が国内向けの市場でどのようにアピールしているかを読み解くための優良な資料です。

 本書の中でも、一帯一路が対外開放戦略だけではなく、ニューノーマルに入った中国経済の飛躍のための手段であること、中国にとってのエネルギーの安全保障であること国内の経済ベルトと対外ベルトの接続などについて言及されています。また特に本書で興味深いのは、一帯一路の潜在リスクとして全盛期の日本が反面教師として挙げられている点があると思います。

 

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一帯一路は様々な分野が相互に影響しあう総合的な戦略です。中国の国内情勢の不安定要因(共産党の権力闘争、少子高齢化など)によって今後も定義や動きに変化がある可能性は十分にあります。特に北朝鮮情勢の動きによって場合によっては、アメリカが一帯一路、AIIBに参加する可能性も捨てきれません。

 

今後とも、中国の内部要因と外部要因の両方の面でチェックが必要です。

 

 

一帯一路の別の可能性については以下の諸記事を参照に。

 

syuturumu.hatenablog.com

 

 

syuturumu.hatenablog.com