北東アジアを考えよう!

北東アジア(日中韓台朝)をメインに、ユーラシアを包括的に捉えよう。 

日中にとっての朝鮮半島情勢

相変わらず騒がしておりますが

 

 相変わらず、朝鮮半島が騒がしいです。北朝鮮による核実験や弾道ミサイルの発射。それによるTHAAD配備。それに呼応して中韓関係や中韓米ロ関係の悪化と色々と事態が動いています。そんな中昨日「BSプライム・ニュース」で北朝鮮情勢が特集され、その中で興味深い指摘があったので、それも踏まえて北朝鮮情勢について纏めていきます。

 

因みに放送されたVTRは以下より見られます。

 2016/10/10 『北朝鮮祝賀日に何が? 訪朝教授が見た金体制』

www.bsfuji.tv

 

 

 

 

地理としての朝鮮半島

 そもそも朝鮮半島というのは古代から現代まで、日中にとって中々扱いずらい地域でした。なぜなら朝鮮半島はお互いに異民族が侵攻に来る時の橋みたいな地域でした。

 日本にとって分かりやすい例は元寇です。モンゴル軍は朝鮮半島から対馬を通って日本に来ようとします。また中国から見れば、中世豊臣秀吉朝鮮出兵豊臣秀吉は中国大陸まで進もうとしていたといわれている)に際して明朝は援軍を出してせき止めました。近代日清戦争朝鮮半島で闘い、20世紀朝鮮戦争ではアメリカと朝鮮半島で戦争します。つまり、朝鮮半島という地理が持っている性質として、

 

中国にとって太平洋の異民族勢力が入ってくる通り道であり

日本にとってシナ大陸から異民族勢力が通ってくる道なのです

 

 

朝鮮半島の統一は皆が望むが実行されるのは御免だ

 このような性質があるので、ある意味で言うと現在の状況はある意味、中国にとっても日本にとってもベターな状況です。仮に、韓国・アメリカ主導で北進統一されれば、中国やロシアにとって軍事的脅威になり、再び太平洋勢力が大陸への干渉を強める事がしやすくなります。反対に、朝鮮主導の南進統一になれば、日本に対する軍事的圧力がより強くなります。

 

以下の記事も参考にしてみて下さい。

jp.sputniknews.com

 

 

AIIBと一帯一路の関与

 上記のような理由から、朝鮮半島有事に対する危機管理や保障は上手く動いていません 。そこでAIIBが重要な役割を担う可能性があります。

 朝鮮半島の統一をドイツ型を持ち出して考える事は多々ありますが、現実的に難しいです。更に韓国と朝鮮の経済格差と現状の韓国の国力を考えると支えきれません。そのコストを如何に分散するかというのは北東アジア情勢の大きなキモになります。もちろん、ADBやIMFと言ったアメリカ主導の銀行も融資や援助をする事になると思います。

 また、北朝鮮と国境を接している東三省の昨今の経済成長率が芳しくありません。これには、習近平による国内政策もありますが、北朝鮮に対する経済制裁の影響もあります。仮に、北朝鮮が開放され東北三省が自由に貿易ができるようになれば、これは中国にとってもいい事です。米韓による北進統一に拒否感がある中国にとっての理想は、少なくとも北朝鮮ベトナムラオス、昨今のミャンマーに近づきながら、朝鮮半島が中国にとっての第二・第三の香港や台湾のような役割を担う事だと思います。

 朝鮮が完全崩壊する統一のシナリオにしても、朝鮮が市場化自由化してソフトランディングする統一のシナリオにしても、莫大な費用が必要です。その費用の保障としてAIIB、中国が担う役割は大きいです。もちろん、韓国も朝鮮も何とかして金を引っ張ってくるような戦略を練るはずです。

 

 

ユーラシア横断鉄道敷設計画が朝鮮半島に及ぼす影響に関する報道です。

www.youtube.com

 

 

 

 

今回の原稿は日中にとっての朝鮮半島を考察しましたが、もちろん、朝鮮半島朝鮮民族のモノであり、韓国も朝鮮も別に日本と中国のために存在しているわけではありません。もしかしたら平和統一のために日中双方の政府にとって不愉快な事も十分起き得ます。

 

この原稿を見て不愉快な思いをされた方がいれば批判を甘んじて受けます。

 

 

 

参考資料

中朝関係を整理したい方はこんな本があります。興味がある方は読んでみて下さい。

 

最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮(上)

最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮(上)

 

 

 

最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮(下)

最後の「天朝」――毛沢東・金日成時代の中国と北朝鮮(下)

 

 

 

北朝鮮の行動原理である主体思想がどのような経緯で作られたか、少しだけ語られます。

www.youtube.com

 

AIIBが北朝鮮危機に対する保障になりうる可能性について、柯隆氏が言及。

 

中国年鑑 2016

中国年鑑 2016